Watanabe's Pop Picks 166
"Seeing Upside Down" - The Chemistry Set
from the album "Alchemy #101" (2009)
ずいぶん昔から名前は聞いていたけれど、マイスベースで再発見するまで殆ど実像が掴めなかった、ロンドンサイケデリックの雄、ザ・ケミストリー・セット(アメリカにも同名のバンドがいるらしいので後ろにUKと付ける場合もある模様)。最初のリリースとなる88年のデモカセット以後、ジョン・ピールの寵愛を受け、以来90年代の始めまで沢山の音源がファンジンなどを通じて発表されたというのですから、個人的には何だか他人事とは思えない同世代的な意識を勝手に持ってしまいます。彼らの場合、作品をLPなどの纏まった形で出すよりも、ひたすらツアーと、インターネットが登場する前は特に大きな力を持っていたファンジンを媒体として、英米欧のアンダーグラウンドのサイケデリックシーンにその名を広めて行ったようです。その後長く沈黙したのですが、近年、Paul Lake(Vo/主にG)とDavid Mclean(Vo/主にDr)のマルチプレイヤーの二人組として復活。今年リリースしたミニアルバムの一曲が上に挙げた楽曲です。彼らのMySpaceページで聴けますので、ぜひどうぞ。
The Chemistry Set MySpace page トップにあるDJリミックスの"She's Taking Me Down"はクラブ的に受けそうな曲で、これももちろん良いのですが、個人的には、本質に潜んでいるのであろう、上に挙げたシド・バレット/アーサー・リーなサイケデリック・フォークロックに惹かれます。どの曲を聴いても感じるのは、やはり年輪。色んな音楽の流行を横目で見て来たはずで、そしてそうしつつ、上手く活かして来た・・・つまり自分たちの出来ること、やりたいことを却ってしっかり把握して来たというのが感じられるんですよね。ですから若さ故の不安定さが生み出す爆発力とは違いますが、ポイントを外さない地道なサイケデリック・ポップ・サウンドには、その奥に揺るぎない音楽への愛情がメッセージとしてあることを確認出来るはずです。
彼らの影響を受けた音楽のリストにはこうあります。
Arthur Lee & Love (never forgetting Bryan Maclean's contribution!), Syd Barrett, Tamla Motown, Brian Wilson, Ennio Morricone, John Coltrane, New Order, Van Dyke Parks, David Axelrod, The Smiths, The Byrds, The Beatles, Buffalo Springfield, Echo & The Bunnymen, Jack Nitzsche, Factory, Moby Grape, "The Further Adventures of Charles Westover" by Del Shannon, The Rain Parade, Robyn Hitchcock, plus a healthy dash of Power-Pop/New Wave, Surrealism, La Movida, Borges, Eduardo Mendoza, Raul Nunez and Spain!
ご興味を持たれましたでしょうか?
こちらは89年に制作されながら、未発表に終わったらしいアルバム"Sounds Like Painting"からの一曲。当時はマンチェの流行もありましたから、上手く行けばそちらの系統で名を残せたのかも知れません。そのあたりの事情はわからないので、チャンスがあったら本人達に一度訊いてみたいものです。

■The Look Inside
.... ロンドンの霧の現状がどうなのかわかりませんが、音の霧の向こうには、同じ時代を行きて来た生身の人間がいた・・・あくまで個人的なことですが、そういう感慨深いバンド。

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